Overview

科学技術振興機構(JST) 経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)
研究開発構想(個別研究型)「セキュアなデータ流通を支える暗号関連技術(高機能暗号)」

高機能暗号と連携するSDC技術の体系化と

効率的な実装による大規模分散データの統合

Project SDC4Society

プライバシーを守りながらデータの価値を最大限に引き出す未来を創造します。
暗号化した状態でのデータ分析を可能とする高機能暗号技術と分析結果のプライバシーを守る統計的開示抑制技術(SDC)の融合により、有用性と安全性を兼ね備えた新たなデータ流通基盤を構築。
高度なプライバシー保護技術に支えられたデータ利活用が、新ビジネスや社会課題解決の加速を実現します。

  • 統計的開示抑制技術(SDC:Statistical Disclosure Control)・・・統計データ等の分析結果から、個人や企業など特定の情報提供者の機密情報が推定されることを防ぐためのプライバシー保護技術です。データの公表にあたっては、マスキング、ノイズ付加などの秘匿処理を施すことで、回答者のプライバシーを確保しつつ、学術研究やビジネスに活用可能なデータの有用性を維持することをとしています。

暗号とSDC、それぞれの強みが調和し、
データ流通のライフサイクル(生成〜通信〜蓄積〜解析) を
一貫して保護する安全なデータ循環社会の実現へ

Project SDC4Societyでは、サイバー空間社会において
データ流通のライフサイクル(生成〜通信〜蓄積〜解析)が
一貫して保護される安全なデータ循環社会を構築し、
データ利活用が推進される未来を創造します。


4つの研究グループと
社会が協働することで、
セキュアなデータ流通を加速し、
新たなビジネスの展開を促進する

現代社会において、私たちの暮らしや産業は、あらゆる場面でデータと密接に結びついています。社会課題の解決や新たな価値創出のためにデータを利活用する動きが加速する一方で、プライバシーの侵害や情報漏えいといったリスクも深刻化しています。
Project SDC4Societyでは、こうしたサイバー空間社会における課題に対応するため、データの生成から通信、蓄積、解析に至るデータ流通の全ライフサイクルにおけるデータ保護を目指しています。データが「安心して使える」環境を整えることで、個人・組織・社会全体におけるデータ利活用を力強く後押しし、信頼性の高いデータ循環社会の実現を目指します。

本プロジェクトでは、以下のような具体的な研究開発に取り組んでいます:

  • プライバシー保護技術の体系化
    統計開示抑制(SDC)の分野におけるプライバシー保護の方法論を理論と実証の両面から整理し、高機能暗号技術と組み合わせて活用するための実践的な指針を示します。
  • 大規模データの統合技術の開発と実証評価
    公的大規模データの統合(リンケージ)に関する方法論を確立し、大規模リンケージデータの利活用に向けて法制度的措置、技術的な安全性の評価手法を検討します。
  • 暗号データに対するSDC手法の効率的実現
    高機能暗号を用い、暗号化されたままのデータに対してSDCを適用したデータ処理を効率的に実現することで、セキュリティと実用性を両立させます。
  • 差分プライバシーの実装と応用
    異なる組織の機密情報を保護しながら統合し、大規模データから社会的に有意義な傾向やパターンを安全に抽出する技術の確立を目指します。
  • 制度設計・倫理的枠組みの検討
    技術の安全性だけでなく、法制度や倫理的な側面にも配慮した持続可能なデータ利用のルールを構築します。

これらの取り組みを通じて、医療・福祉・教育・行政・ビジネスなど、あらゆる分野で安心してデータを利活用できる環境を整備し、誰もがデータの恩恵を受けられる社会の実現を目指します。
Project SDC4Societyは、技術と制度、倫理の融合によって、未来の情報社会にふさわしい、安全で豊かなデータ循環のかたちを創造していきます。


Research Groups

安全なデータ流通を支える技術の社会実装──SDC4Societyの4つの研究グループの連携

Project SDC4Societyでは、プライバシーを守りながら安心してデータを活用できる社会の実現を目指し、その技術や仕組みを現実の社会に組み込む「社会実装」に重点を置いています。

社会実装とは、単に技術を完成させるだけでなく、制度、運用、倫理、実務といった多様な要素と調和させながら、実際に社会の中で機能させていくことを意味します。

このプロジェクトでは、4つの研究グループが連携し、理論や技術の開発にとどまらず、制度設計や実地検証、社会との接点づくりまでを視野に入れて取り組んでいます。
また、企業や行政、関係機関などとの連携も進めており、現実のニーズや制約を踏まえたかたちで、技術が実際に活用される環境の構築を目指しています。

SDC4Societyは、こうした多角的な協働体制と社会との対話を通じて、信頼性の高いプライバシー保護型データ流通の社会実装を実現しようとしています。


[Group1]
SDC基礎研究グループ / SDC Fundamental Research Group
情報・システム研究機構

様々なSDC技術の体系化と実践的なプライバシー保護の指針の策定

様々なSDC技術の安全性を理論・実証面から評価,体系化し,高機能暗号とSDCの多様な融合形態に適用すべきプライバシー保護技術の選定に関する実用的なガイドラインを提供します.

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[Group2]
高機能暗号応用研究グループ / Applied Advanced Cryptographic Protocols Research Group
群馬大学

SDCを適用したデータ処理を暗号化したまま効率的に実行する手法の研究

データの流通、連結・加工・分析、SDC適用までを一貫して暗号化したまま効率よく処理できる手法の研究開発を行います。完全準同型暗号を用いて、代表的な分析手法とSDC手法を暗号化したまま実行できるライブラリを開発して公開します。

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[Group3]
データ統合技術研究グループ / Data Integration and Engineering Research Group
中央大学

公的大規模データのリンケージに関する方法論の追究および
大規模リンケージデータにおける安全性と有用性の評価

リンケージされた公的大規模データの利用可能性を追究するだけでなく、安全な利活用を可能にするための法制度的措置と技術的な措置を検討した上で、リンケージされた大規模データを対象にした安全性の評価方法の確立を目指します。

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[Group4]
差分プライバシー研究グループ / Scalable Differential Privacy Research Group
京都橘大学

大規模・高次元データへの実用的な差分プライバシーの適用方式の研究

大規模かつ高次元な地理空間データなどの複雑な現実社会のデータに対し、実用的かつスケーラブルな形で差分プライバシーを適用するためのフレームワークを確立します。

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Achievements

Project SDC4societyは、SDC×高機能暗号を掛け合わせて、
データ流通のライフサイクル(生成〜通信〜蓄積〜解析) を
包括的に保護し、安心・安全なデータ循環社会の実現を目指します。
シンポジウム開催やアウトリーチ活動を通じて、最先端の研究成果を
社会に広く発信し、その価値と可能性を共有していきます。

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