【活動報告】プライバシー保護に関わる研究集会
2025年12月11日(木)・12日(金)の2日間にわたり、
統計数理研究所にて、プライバシー保護に関わる公募型共同利用の研究集会が開催されました。
- 研究集会「大規模データ公開におけるプライバシー保護に関する理論の研究」(1日目)
- 研究集会「安全なデータ利活用を実現するプライバシー保護技術」(2日目)
本研究集会では、大規模データの公開・利活用に伴うプライバシーリスクを背景に、
統計的開示制御(SDC)や差分プライバシーをはじめとする理論的研究から、
実データの利用を見据えた応用的な話題まで、幅広い研究発表と議論が行われました。

研究代表者・南和宏は、「匿名化アルゴリズムの体系化」という題で発表しました。
匿名化アルゴリズムは、対象とするデータの種類、利用目的、想定される情報漏えいシナリオに応じて多様な手法が提案されています。
しかし、実社会の個別かつ具体的な場面で、最適な手法を選択することは必ずしも容易ではありません。
本発表では、代表的な匿名データの安全性指標であるk-匿名化を取り上げ、
- k-匿名化の基本的な考え方
- 匿名化手法の代表的なアプローチ
を整理し、特に、匿名化技術を単なるアルゴリズムとして捉えるのではなく、
プライバシーリスクとの関係性や利用場面を踏まえて位置づけることの重要性が示されました。
後半では、汎用的な匿名化技術の評価基盤の確立に向けた予備的な実験結果を報告し、
代表的な k-匿名化アルゴリズムを対象とした 安全性および有用性の比較を提示しました。

研究分担者・伊藤伸介は、「海外の公的大規模データを対象にしたプライバシー保護の動向」という題で発表されました。
海外では、公的統計や行政データなどの大規模データを研究や政策立案に活用する動きが進む一方で、プライバシー保護との両立が重要な課題となっています。
本発表では、こうした背景のもとで、
- 海外における公的大規模データの公開・利用の状況
- プライバシー保護を目的とした制度的枠組みや考え方
- 技術的手法(合成データの方法論等)の適用事例
などが紹介されました。
特に、国や地域によって異なる制度設計や運用方針が、データ利活用の形態やプライバシー保護の方法にどのような影響を与えているかについて、整理が行われました。
本研究集会を通じて、理論的な安全性保証と現実のデータ利活用との関係、および 制度・運用を見据えたプライバシー保護技術の位置づけについて、多角的な視点からの議論が深まりました。
これらのテーマは、プライバシー保護とデータ利活用の両立を目指す関連研究分野全体にとっても重要な論点であり、今後の研究・実践の発展が期待されます。